島の宝観光連盟

夏の隠岐諸島ハイライト

隠岐諸島には隠岐3大祭りをはじめとする特徴的なお祭り、伝統行事が多くあります。

今年の夏もたくさんのお祭りや伝統行事で盛り上がりました。今回は夏の隠岐諸島の行事をハイライトで関連する隠岐の文化と共にご紹介します。

最後には9月下旬以降の情報もご案内します。興味を持った方は、ぜひ隠岐へご来島くださいませ。実際にお祭り・伝統行事に触れていただく事で、ユネスコ世界ジオパークに登録される隠岐諸島の「人の営み」をより深く・濃く感じられること間違いなしです!

隠岐神楽~島後神楽と島前神楽~

隠岐の神楽は島根県本土の石見神楽、出雲神楽とは異なる特徴を色濃く残しています。

隠岐神楽は主に島前神楽と島後の周吉(すき)神楽、穏地(おち)神楽に大別され、全盛期には隠岐諸島全体で15以上の社家(神楽を専業とする神楽師)があり、神社の祭りや遷宮から、豊作・大漁祈願、雨ごいや疫病退散など年中様々な場所で行われてきました。そんな隠岐の神楽の今年の様子を神社情報と共にご紹介します。

伊勢命神社~島後久見神楽~

隠岐の島町の久見地区に鎮座する伊勢命(いせみこと)神社。ご祭神は、古事記や他にお名前の見えない「伊勢命(いせのみこと)」ですが、古記録を火災で焼失しているため、正確なことは分っていません。言い伝えでは猿田彦(さるたひこ)や神宮皇后(じんぐうこうごう)を祀ると云われていますが、伊勢という名前から、伊勢神宮や伊勢地方の磯部との関係があるとする説があります。社殿は隠岐造りと呼ばれる隠岐独特の建築様式で作られています。

7月16日、伊勢命神社の例大祭にて、島後久見神楽が行われました。島後神楽の特徴は、舞う広さが大変狭くほぼ畳二畳分の広さに決まっているところです。これは本来神楽殿で舞われる神楽の伝統を忠実に守っているからだと言われています。また、石見神楽に代表されるような「見せる神楽」ではなく、見る人たちに背を向けて舞う占い形式を残しているところも特徴の一つです。舞台の高いところから棚が設けられて、餅や御神酒などが供えられた神座が作られます。舞う人はこの神座に舞を捧げる形で神楽が行われます。

島後久見神楽は穏地神楽の系統の一つで、現在は年に一度この例大祭にて「儀式三番八乙女神楽」の舞が行われます。この神楽は国の選択無形民俗文化財、県の無形民俗文化財に指定されています。

焼火神社~島前神楽~

西ノ島町の焼火山には、大日霊貴尊(おおひるめむちのみこと)様(※1)をお祀りする焼火神社が鎮座しています。隠岐は北前船の寄港地として大変に栄えており、この焼火神社は本日に続くまで厚く信仰されております。また、江戸時代には海上安全の神として北前船が寄港していた日本各地に焼火権現の末社が点在し広く全国各地で海を行く人々に親しまれておりました。今でも、本土と隠岐諸島を結ぶ船会社である隠岐汽船は焼火山下を通過する折には焼火神社の神様に敬意を表して汽笛を高く鳴らしております。社殿は平成4年に国の重要文化財に指定されています。

※1 大日霊貴尊様・・・天照大神様の別称

7月23日に焼火神社にて例大祭が行われました。この祭りでは先にご紹介した「島後神楽」とはまた違った「島前神楽」が奉納されます。島前神楽は速めの賑やかな囃子で営まれ、大蛇退治の演目である「八重垣」がある点も島前神楽の特徴です。この島前神楽は、①巫女による神懸かりの形が保持されている。②出雲神楽の原型が残されていると思われ、古い形態のまま保持されている。③演技のみでなく、神事の要素も保存されている。ということから、昭和36年に島根県の無形民俗文化財に指定されています。

シャーラ船~祖霊を送る華麗な船~

皆様、今年のお盆は如何お過ごしでしたでしょうか。

昔から日本では夏のお盆の時期には盆踊りを始めとして、盆に迎えた祖先の霊を船に乗せて供物と共に海へ乗せ流すなど祖霊をお迎えし祈りを捧げて参りました。

西ノ島町にはそんなお盆の祖霊を送る「精霊流し」がより特徴的な形で現在に残っています。

「シャーラ船」とは精霊流しをする船である「ショウリョウ船」がなまって呼ばれるようになったものです。西ノ島町の中でも地区によりそれぞれ異なる形で執り行われています。特に美田地区、浦郷地区では集落で大型のシャーラ船が作られます。その大きさは3~10メートルと非常に大きく華麗な形をしています。

伝統の牛突き本場所大会

隠岐には牛突きの伝統文化があり、この起源は承久の乱にて隠岐に流刑となった後鳥羽上皇を慰めるためにはじめられたといわれています。時には体重1トンを超える牛たちが突きあう姿は圧巻の一言です。かつては隠岐諸島全島で行われていましたが現在は隠岐の島町でのみ行われており、大きな大会として年に3回本場所大会と呼ばれる牛突きが行われます。この夏にも8月15日には夏の本場所大会、9月1日には最も伝統を持つ八朔(はっさく)牛突き大会が行われました。

牛突きについてはより詳しく、こちらの前回ブログ記事にてご紹介しておりますので、ぜひご覧くださいませ。隠岐の島町にて「牛突き夏場所大会」が開催!! | 島の宝観光連盟 (shimano-takara.com)

隠岐古典相撲~12年ぶりの開催~

隠岐古典相撲は、水若酢神社神社の20年に一度の遷宮である、屋根の葺き替え時に開催され、現代ではその伝統を引き継ぐため、公共事業の竣工など島内の祝い事の際にも執り行われます。隠岐独特の様式がいくつもあり、最高位が大関、役力士には土俵の柱が贈られます。また、観客も一緒に塩を撒き、遷宮大会では鏡餅を思わせる三段重ねの土俵で相撲が行われます。安全を祈願する土俵祭や顔見世土俵入りから始まり、約20時間後まで長時間にわたって隠岐古典相撲は行われます。

独特の特徴を多く持つ隠岐古典相撲ですが、中でも同じ人どうしで二番相撲をとり、はじめの勝者は次に勝ちを譲って一勝一敗にすることが大きな特徴です。大関・関脇・小結の三役は個人ではなく、地域に割り当てられるため、一番勝負とした場合は地域どうしの遺恨が生じてしまいます。島の中で支え合うために生まれたこの仕来りから、「人情相撲」ともよばれます。

そんな隠岐古典相撲が9月14日夕方から15日正午ごろまで執り行われ、隠岐の島町合併20周年の祝いとして、約12年ぶりの開催となりました。

今後の隠岐の伝統行事・イベントについて

これから秋の季節にもまだまだ隠岐のお祭り・伝統行事が盛りだくさんです。
夏の旅行シーズンも終わりましたが、涼しくなってくるこれからの秋の季節、隠岐のイベントを旅の目的の一つとしては如何でしょうか。興味のある方はぜひ下記のピックアップリストをご覧下さい。

・9月28日 帝祭り(西ノ島町)

隠岐へ配流された後醍醐天皇にまつわる帝祭りが行われます。

・10月 一夜獄牛突き大会(隠岐の島町)
隠岐の島町の牛突き大会、今年最後の本場所大会です。

指定無形民俗文化財公開日(月別) |隠岐の島町-ほっとひと息、安らぎの島 (town.okinoshima.shimane.jp)


・10月 ごとばんさん芸術文化祭(海士町)
後鳥羽上皇をお祀りする隠岐神社は今年創建85年となり、式大祭が行われます。
また、「ごとばんさん芸術文化祭」のイベントは9月下旬から10月中まで行われます。

2024年 ごとばんさん芸術文化祭 (gotobain-kensyo.com)

・10月 西ノ島ハーフマラソン(西ノ島町)
壮大な海と大地を全身で感じる絶景離島マラソンが島前西ノ島町にて行われます。

西ノ島ハーフマラソン2024 | 西ノ島町観光協会 (nkk-oki.com)